ハサミの切り紙に夢中になったのは、小学生のときです。自然が大好きな私にとって、モチーフは、昆虫や鳥や植物たち。一枚の紙の中から現れるシンプルなかたちの不思議に心を奪われたのを覚えています。それからしばらくブランクがありましたが、ここ20年来、再び熱い思いがぶり返しています。
私は、写真家として熱帯雨林やサバンナなどさまざまな国を取材してきました。また一方で、生まれ育った琵琶湖のほとりの自然をみつめてきました。今回の作品の題材は、そんな中で私が出会った愛おしい生き物や暮らしのモノたちです。
切り紙というと、部屋の中の作業に思われがちですが、私の場合は、里山を散策したり、見知らぬ土地を旅したりなど、幅広い野外活動とつながっています。もしかしたら、切り紙は、フィールドから感性をもちかえるためのエコバッグのような働きをしているのかも知れません。
紙から切りだされた作品から、自然の美しさや豊かさを感じとっていただけたらとても嬉しいです。
今森光彦(いまもり・みつひこ)プロフィール
1954年滋賀県大津市生まれ。大学卒業後、独学で写真技術を学び、1980年よりフリーランスの写真家となる。以後、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、自然と人との関わりを「里山」という概念で追う一方、世界各国を訪ね、熱帯雨林から砂漠まで、生物の生態を追求し広く世界の辺境の地までを取材し続けている。
第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞、第48回毎日出版文化賞、第42回産経児童出版文化賞大賞、第56回小学館児童出版文化賞など受賞多数。
著作に『里山物語』(新潮社)、『湖辺』、『萌木の国』、『蒼い宇宙』(世界文化社)、『世界昆虫記』(福音館書店)、『里山を歩こう』(岩波書店)、『わたしの庭』(クレヨンハウス)、ペーパーカット作品集に『魔法のはさみ』(クレヴィス)、『むしのあいうえお』(童心社)など著書多数。最新刊に『今森光彦の心地いい里山暮らし12ヶ月』(世界文化社)、『とんだ、とんだ』(福音館書店)、『昆虫の立体切紙』(日本ヴォーグ社)、『だれかさん』(アリス館)などがある。
今森光彦ギャラリートーク&サイン会
5月1日(金)~6日(水・振休)
各日 午後1時~・午後3時30分~[会場内にて]
※ギャラリートークご参加には入場券が必要となります。
※サイン会は各日、約30分のギャラリートークの後、会場出口にて図録をお買いあげの方先着100名さまに限らせていただきます。
お問合せ先:日本橋三越本店 TEL.03-3241-3311(大代表)
※都合により、イベントの内容が変更となる場合がございます。予めご了承ください。
©Mitsuhiko Imamori
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