三越日本橋三越本店

住所
103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1
電話番号
03-3241-3311
現在位置
TOP > 三越の七夕 ウインドー

三越の七夕 ウインドー 〜万葉集より、ひもといて〜 2015年6月24日(水曜日)から7月7日(火曜日) 本館1階 中央通り面ウインドー

日本橋三越の本館の中央通りに面しているウインドーでは
七夕をイメージしたディスプレイに、浴衣を展開しています。
7月7日は、七夕(たなばた、しちせき)。日本の季節の変わり目などを祝う五節句のひとつです。
七夕といえば、織姫と彦星の恋物語ですが、古くは万葉集に、たくさんの歌があります。
ウィンドーのガラス面に、万葉集の中で七夕にちなんだ和歌28首を紹介してます。
日本人が星へ願った思いを万葉集から紐解いてみませんか。

たぶてにも投げ越しつべき天の川隔てればかもあまたすべなき(巻8・1522)

原文:
多夫手二毛投越都倍吉天漢敝太而礼婆可母安麻多須辨奈吉
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
たぶてにも投げ越(なげこ)しつべき天の川隔(へだ)てればかもあまたすべなき
意味:
つぶてで投げても向こう岸に届きそうな天の川なのにどうしても渡る術がない。

彦星の思ひますらむ心より見る我れ苦し夜の更けゆけば(巻8・1544)

原文:
牽牛之念座良武従情見吾辛苦夜之更降去者
作者:
湯原王(ゆはらのおほきみ)
よみ:
彦星(ひこほし)の思ひますらむ心より見る我れ苦し夜の更けゆけば

白玉の五百つ集ひを解きもみず我は干しかてぬあはむ日待つに(巻10・2012)

原文:
水良玉五百都集乎解毛不見吾者干可太奴相日待尓
作者:
柿本人麻呂歌集
よみ:
白玉の五百つ集ひを解きもみず我は干しかてぬあはむ日待つに

天の川霧立ち上る織女の雲の衣のかへる袖かも(巻10・2063)

原文:
天漢霧立上棚幡乃雲衣能飄袖鴨
作者:
未詳
よみ:
天の川霧立ち上る織女(たなばた)の雲の衣のかへる袖かも

天の川打橋渡せ妹が家道やまず通はむ時待たずとも(巻10・2056)

原文:
天漢打橋度妹之家道不止通時不待友
作者:
未詳
よみ:
天の川打橋渡せ妹が家道(いへぢ)やまず通はむ時待たずとも

大船に真楫しじ貫き海原を漕ぎ出て渡る月人壮士(巻15・3611)

原文:
於保夫祢尓麻可治之自奴伎宇奈波良乎許藝弖天和多流月人乎登
作者:
柿本人麻呂
よみ:
大船に真楫しじ貫き海原を漕ぎ出て渡る月人壮士(つきひとをとこ)

青波に袖さへ濡れて漕ぐ舟のかし振るほとにさ夜更けなむか(巻20・4313)

原文:
安乎奈美尓蘇弖佐閇奴礼弖許具布祢乃可之布流保刀尓左欲布氣奈武可
作者:
大伴家持
よみ:
青波に袖さへ濡れて漕ぐ舟のかし振るほとにさ夜更(よふ)けなむか

天の川楫の音聞こゆ彦星と織女と今夜あふらしも(巻10・2029)

原文:
天漢梶音聞孫星与織女今夕相霜
作者:
柿本人麻呂歌集
よみ:
天の川楫(かぢ)の音聞こゆ彦星(ひこほし)と織女(たなばたつめ)と今夜(こよひ)あふらしも
意味:
天の川に櫓を漕ぐ音が聞こえます。彦星(ひこほし)と織女(たなばたつめ)は、今夜あうらしい。

玉かぎるほのかに見えて別れなばもとなや恋ひむあふ時までは(巻8・1526)

原文:
玉蜻蜒髣髴所見而別去者毛等奈也戀牟相時麻而波
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
玉かぎるほのかに見えて別れなばもとなや恋ひむあふ時までは

彦星の妻迎へ舟漕ぎ出らし天の川原に霧の立てるは(巻8・1527)

原文:
牽牛之迎嬬船己藝出良之天漢原尓霧之立波
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
彦星(ひこほし)の妻迎(つまむか)へ舟(ぶね)漕ぎ出(こぎづ)らし天の川原(あまのかはら)に霧の立てるは

天の川夜船を漕ぎて明けぬともあはむと思ふ夜袖交へずあらむ(巻10・2020)

原文:
天漢夜船滂而雖明将相等念夜袖易受将有
作者:
柿本人麻呂歌集
よみ:
天の川夜船を漕ぎて明けぬともあはむと思ふ夜袖交(そでか)へずあらむ

天の川霧立ちわたり彦星の楫の音聞こゆ夜の更けゆけば(巻10・2044)

原文:
天漢霧立度牽牛之かぢ音所聞夜深徃
作者:
未詳
よみ:
天の川霧立ちわたり彦星の楫(かぢ)の音聞こゆ夜の更(ふ)けゆけば

君が舟今漕ぎ来らし天の川霧立ちわたるこの川の瀬に(巻10・2045)

原文:
君舟今滂来良之天漢霧立度此川瀬
作者:
未詳
よみ:
君が舟今漕ぎ来(いまこぎく)らし天の川霧立ちわたるこの川の瀬に

この夕降りくる雨は彦星の早漕ぐ舟の櫂の散りかも(巻10・2052)

原文:
此夕零来雨者男星之早滂船之賀伊乃散鴨
作者:
不明
よみ:
この夕(ゆうへ)降(ふ)りくる雨は、彦星(ひこほし)の早(はや)漕(こ)ぐ舟(ふね)の櫂(かい)の散(ち)りかも

天の川相向き立ちて我が恋ひし君来ますなり紐解き設けな(巻8・1518)

原文:
天漢相向立而吾戀之君来益奈利紐解設奈 一云 向河
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
天の川(あまのがは)相向(あひむ)き立(た)ちて我(あが)が恋(こ)ひし君来(きみき)ますなり紐解(ひもと)き設(ま)けな
一云 川(かは)に向(むか)ひて
意味:
天の川、この川に向かい立ってお待ちしていました。いよいよ、愛しいあの方がお来しになるようです。
さぁ、衣の紐を解いてお待ちしましょう。

久方の天の川瀬に舟浮けて今夜か君が我がり来まさむ(巻8・1519)

原文:
久方之漢瀬尓船泛而今夜可君之我許来益武
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
久方(ひさかた)の天の川瀬(あまのがはせ)に舟浮(ふねう)けて今夜(こよひ)か君(きみ)が我(わ)がり来(き)まさむ

霞立つ天の川原に君待つとい行き帰るに裳の裾濡れぬ(巻8・1528)

原文:
霞立天河原尓待君登伊徃還尓裳襴所沾
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
霞立つ天の川原に君待つとい行き帰るに裳(も)の裾(すそ)濡れぬ

天の川浮津の波音騒くなり我が待つ君し舟出すらしも(巻8・1529)

原文:
天河浮津之浪音佐和久奈里吾待君思舟出為良之母
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
天の川浮津(うきつ)の波音騒(さわ)くなり我が待つ君し舟出(ふなで)すらしも

天の川霧立ちわたる今日今日と我が待つ君し舟出すらしも(巻9・1765)

原文:
天漢霧立渡且今日且今日吾待君之船出為等霜
作者:
藤原房前
よみ:
天の川霧立ちわたる今日今日と我が待つ君し舟出すらしも

年にありて一夜妹にあふ彦星も我れにまさりて思ふらめやも(巻15・3657)

原文:
等之尓安里弖比等欲伊母尓安布比故保思母和礼尓麻佐里弖於毛布良米也母
作者:
遣新羅使
よみ:
年にありて一夜妹にあふ彦星も我れにまさりて思ふらめやも

夕月夜影立ち寄り合ひ天の川漕ぐ船人を見るが羨しさ(巻15・3658)

原文:
由布豆久欲可氣多知与里安比安麻能我波許具布奈妣等乎見流我等母之佐
作者:
遣新羅使
よみ:
夕月夜(ゆふづくよ)影立ち寄り合ひ天の川漕ぐ船人を見るが羨(とも)しさ

八千桙の神の御代よりともし妻人知りにけり継ぎてし思へば(巻10・2002)

原文:
八千戈神自御世孋人知尓来告思者
作者:
柿本人麻呂歌集
よみ:
八千桙(やちほこ)の神の御代よりともし妻人知りにけり継ぎてし思へば
意味:
遠い神の時代から七夕の日にしかあえない妻のことは人々に知れ渡ることになった。
毎年毎年語り継がれてきたことを思う

風雲は二つの岸に通へども我が遠妻の言ぞ通はぬ(巻8・1521)

原文:
風雲者二岸尓可欲倍杼母吾遠嬬之 一云 波之嬬乃 事曽不通
作者:
山上憶良(やまのうえのおくら)
よみ:
風雲(かぜくも)は二つの岸に通へども我が遠妻(とほづま)の 一云 愛し妻(はしつま)の 言ぞ通(ことぞかよ)はぬ

万代にたづさはり居て相見とも思ひ過ぐべき恋にあらなくに(巻10・2024)

原文:
万世携手居而相見鞆念可過戀尓有莫國
作者:
柿本人麻呂歌集
よみ:
万代(よろづよ)にたづさはり居(ゐ)て相見(あひ)とも思ひ過ぐべき恋にあらなくに

あはなくは日長きものを天の川隔ててまたや我が恋ひ居らむ(巻10・2038)

原文:
不合者氣長物乎天漢隔又哉吾戀将居
作者:
未詳
よみ:
あ(あ)はなくは日長(けな)きものを天の川隔ててまたや我が恋ひ居らむ(あがこひをらむ)

天の川八十瀬霧らへり彦星の時待つ舟は今し漕ぐらし(巻10・2053)

原文:
天漢八十瀬霧合男星之時待船今滂良之
作者:
未詳
よみ:
天の川八十瀬霧(やそせき)らへり彦星の時待つ舟は今し漕ぐらし

年渡るまでにも人はありといふをいつの間にぞも我が恋ひにける(巻13・3264)

原文:
年渡麻弖尓毛人者有云乎何時之間曽母吾戀尓来
作者:
未詳
よみ:
年渡るまでにも人はありといふをいつの間にぞも我(あ)が恋ひにける

妹が袖我れ枕かむ川の瀬に霧立ちわたれさ夜更けぬとに(巻19・4163)

原文:
妹之袖和礼枕可牟河湍尓霧多知和多礼左欲布氣奴刀尓
作者:
未詳
よみ:
妹が袖我れ枕(まくら)かむ川の瀬に霧立ちわたれさ夜更けぬとに

訓読表記・原文掲載など、山口大学教授 吉村誠氏にご協力をいただきました。
※都合により、イベントの内容が変更となる場合がございます。予めご了承ください。

ページトップへ