

「錫」は金、銀に次いで高価な素材。
<能作>の職人の手にかかると、「錫」は"曲がる"という個性を主張し、「真鍮」はしなやかな曲線を描いて、美しい日常品に生まれ変わります。素材そのものを美しく見せる画期的なデザインは、<能作>が得意とするところ。出発点となる素材の性質を知り尽くし、その潜在的な可能性を引き出すことで、人々を魅了する作品を生み出しています。

硬質なきらめきが醸し出す、えもいわれぬ存在感の「真鍮」
人間と「錫」の歴史は長く、「錫の器に酒を入れると雑味が抜けてまろやかになる」と言われ、古くから酒器や茶器などに使われて親しまれてきました。<能作>が原料に用いるのは100%の錫。形状や厚さによるものの、非常に柔らかく手で容易に曲げることができ、また曲げて元の形状に戻すことも可能です。「錫って、曲がるの?」そんな驚きが印象に残る存在感、金属でありながら人肌に馴染む「鋳肌」の表情が、手にするたびに使い手を楽しませてくれます。
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製品の表面に残る鋳型の砂模様「鋳肌」は、 |
曲げるときにかすかに耳をくすぐるのは、錫の分子が擦れ合う音「Tin Cry」 |
私たちに身近な「真鍮」といえば5円玉ですが、インテリア雑貨や家具、建築金物にも広く加工されています。澄み切った音色を醸し出す真鍮は、仏具や楽器の材料としても愛用されてきました。<能作>が生み出す真鍮製ハンドベルは、音の広がりや美しい響きが評価され、うっとりと聴きくらべを楽しむコレクターもいるほど。真鍮製とはいえ、原料の配合や仕上げによって表情もさまざまですが、手仕事で生み出される<能作>真鍮製品は、"ヘアライン"と呼ばれる表面の繊細な仕上げに、高度な職人の技が息づいています。

<能作>ならではの繊細な"ヘアライン"が、流線型のフォルムに味わい深い表情を宿します