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<江戸切子 小林>の歴史は明治41年(1908年)、初代の小林菊一郎が江東区猿江町で大橋徳松に師事した時に始まりました。
ちなみに徳松は、明治の初期に官営のガラス工場である「品川工作分局」でイギリス人技術者エマニュエル・ホープトマンからカット技術を学びました。
徳松は、タレントの故大橋巨泉さんの祖父に当たる人物です。
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小林昂平さん(以下/小林):
両親には「この仕事で生活していくのは難しいから他の仕事に就きなさい」と言われて育ちました。
小さい頃から、工場で職人さんが黙々と削っている姿を見ていたので、自分は外で生き生きと動き回る仕事に着きたいと思っていました。 三代目 淑郎さん作 ぐい呑み
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大学2年生の春休みに2週間、アメリカでホームステイをしました。
その時、父が作ったぐい呑みをホストマザーにプレゼントすると、ビューティフル!アメージング!と、心から喜んでくれました。その経験が、切子の職人になることを考えるきっかけになりました。
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昂平さん制作のオールドグラス。
代々受け継がれてきた「菊繋(きくつなぎ)」や「菊籠目(きくかごめ)」など細かなカットの技を生かしながら、大胆な曲線を取り入れた自分なりの構図やデザインを探求しています。昂平さんの尊敬するアーティストは、ファッションデザイナーの中里唯馬(なかざと ゆいま)さん。
一緒に作品作りをした時に、彼の仕事に対する姿勢や情熱に大きな刺激を受けました。 -
小林 昂平 (こばやしこうへい)
- 1987年
- 東京都江東区に生まれる
- 2010年
- 明治大学卒 父・淑郎に師事
- 2012年
- 第5回 KOGANEZAKI 器のかたち・現代ガラス展 入選
- 第8回 東京の伝統的工芸品チャレンジ大賞 優秀賞
- 2013年
- 第25回 江戸切子新作展 グラスウェアータイムス賞
- 2014年
- 第54回 東日本伝統工芸展 入選
- 第61回 日本伝統工芸展 入選
- 2015年
- 第27回 江戸切子新作展 江東区議会議長賞
<江戸切子 小林>の四代目である小林昂平(こうへい)氏の作品の魅力は、大胆な曲線使いが特長のモダンなデザイン。
今回は、江東区住吉の工房にお伺いして、将来を嘱望される若手作家の仕事に懸ける想いとパーソナリティに迫りました。
静かな四代目、小林昂平さん。
「両親にはほかの仕事に就きなさいと言われて育ちました。」

祖父は江戸切子の第一人者であった小林英夫氏。父は今も精力的に制作を続ける伝統工芸士の小林淑郎(よしろう)氏。
小林昂平さんは、代々硝子工房を営む<江戸切子 小林>の四代目。三代目淑郎さんとともに、江東区住吉にある工房で硝子と向き合う日々を重ねています。



「あたしは何も教えてないんですよ。
カエルの子はカエルなんですかね。」と、三代目 淑郎さん。

技術的なことを父から直接教わった記憶はありません。
そっと後ろから手元を覗き込んで、一つ一つの削り方をマスターしていきました。
傍らで、三代目淑郎さんは「あたしは何も教えてないのに、彼はたった1年ぐらいで、難しい文様が出来るようになってしまった。やっぱりカエルの子はカエルだと思いましたね。」と、当時のことを教えてくれました。



工房には、戦前から使われてきた、硝子を削るための砥石がずらりと並べられています。
現在では、切子のカットは写真のカットマシーンに「ダイヤモンド・ホイール」と呼ばれる、金属にダイヤモンドの粉末を圧着して作られた道具をはめ込んで行われています。
こちらが「ダイヤモンド・ホイール」の中でもよく使われる「菱山」。
昂平さんは200種類ほどの「ダイヤモンド・ホイール」を使い分けて作業をしています。
もっと多くの人々と、ガラスの美しさを共有していきたい。


ガラスの輝きをたくさんの人と共有することが昂平さんの夢。その答えの一つが、彼が立ち上げたアクセサリー・ブランド<Tokoba>です。
通常扱う食器類と比べて、小さなジュエリーに模様を入れていくのは、繊細で気を使う作業です。
時間を掛けて作り上げた作品を手放す時、おかしいかもしれませんが、寂しく感じることがあります。一つ一つの作品が僕の分身です。先は長いですが、コツコツ前に進んでいけたらと思っています。

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