日々の暮らしの中で、季節の移ろいを感じ、楽しむ日本人の心を、
美しい言葉で表した二十四節気。
啓蟄、清明、立夏、白露など、二十四の言葉に、移りゆく季節の情景を映しています。このすてきな感性を、もっと暮らしの中に取り入れてみませんか。
菊の花に願う健康長寿。
9月9日は「重陽の節句」。中国から伝来した五節句の一つで、健康長寿を願い、祝う日です。古来中国では、奇数を縁起の良い陽の数と考え、奇数が重なった月日を節句としました。その中で一番大きな陽の数、9が重なった「重陽の節句」は、一年で最も縁起のいい日とされています。また、長寿の象徴ともされる秋の花、菊にちなみ「菊の節句」とも呼ばれています。平安時代には節句の前夜に、菊のつぼみに綿をかぶせ、菊の香りと夜露をしみ込ませた「着せ綿(きせわた)」というものをつくり、翌9日の朝、その綿で身体を拭うと健康長寿が保たれると伝えられていました。この習慣があったことは、枕草子や紫式部日記からもうかがえ、当時は盛んに行われていたようです。現在でも、神社によっては無病息災を願い、菊を使った神事などが行われるそうです。いにしえの着せ綿にちなみ、菊を使ったブーケやアレンジフラワーなどをお部屋に飾ってみてはいかがでしょう。 |